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:2007:09/18/02:39 ++ ドライブイン K
人は、お金を出してでも「便利」と「楽」を手に入れる。
現在、高速道路も日本の至る場所を通っていて、どこへ行くにも便利になった。
しかし、いまだに行くのに不便な観光地がある。
そこは半島の先端、観光客があまり来ない場所である。
高速道路も鉄道も、半島の末端まで通っていない場所に、比較的多く廃墟が存在している。
昭和、高度経済成長期をむかえ、テレビや車、旅行などが生活に密着し始め、暮らしに潤いを与え、
人々の暮らしは少しずつ豊かになっていった。
それに比例し、観光地ではホテルや土産物屋などが乱立した。
ここも、そんな時代の波に乗り、建てられた一軒の土産物屋である。
海風が強く吹くこの場所では、その風によってガラスが割れる。
割れた2階の窓からは、建物の内部が見え隠れしている。
看板は外れ、窓は割れ、一目見ただけで廃墟と呼べる状態になっていた。
1階の窓は板が打ち付けられており、店内はかなり暗くなっているが、
天井付近にある小窓はだけは、板が打ち付けられてはおらず、そこから光が差し込み
残されている土産物が物悲しさを強調していた。
何のキャラクターかわからない絵が描かれているマグカップや灰皿、地名さえ書き換えれば
どこでも売れるキーホルダーやのれん、私が学生時代によく見た懐かしい土産物がそこに並んでいる。
比較的しっかりとした大きな階段を上ると、団体さん向けの食堂になっている。
建物の端から端まで、椅子とテーブルが所狭しと並んでいるが、
これを埋め尽くすほど人が来たのだろうかと疑問を感じてしまった。
特に興味を引くものは見当たらず、1階のオーナーの部屋を覗いてみた。
見たこともない動物の死体が布団の上に横たわっているが、それよりも
足元の数枚の紙に目をひかれた。
信販会社からの催告書や裁判所からの期日呼出状だ。
それによると、クレジット代金の入金交渉が進展しないために、裁判所に支払い命令の申し立てをしたという内容だった。
莫大な金額というわけではないが、経営末期には厳しい現実がここにのしかかってきたのだろう。
それにより、ここがオーナーから手放されたという結果には直結しないかもしれないが
廃れてしまった観光地には、この様な廃墟が多数存在するのも事実である。
昭和から平成になり、時代は大きく動いた。
人々の意識も変わり、新しいものを次々に求めていった。
新たな時代の波がきても、それに乗ることができなかった経営者達は一気に姿を消していった。
そして、負の遺産だけが今尚残っている。
廃墟とは、そんな時代が残していった、時の移り変わりを具現化したものなのかもしれない。
まさにその画像ですね。
表現し辛いのですが、この「紙」自体、冷たく、心に突き刺されるような、何か不思議なものが宿ってますよね。オーナーさんや従業員の方は一体どんな気持だったのでしょうか・・。
実はこの紙以外にもあったのですが、いくらモザイクを入れてもさすがに公開することはできませんでした。
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